その「いわゆる」、本当に合っていますか?
日本の英語学習者の多くが一度は直面する課題。それは、日本語では当たり前のように使う「いわゆる」を、英語でどう表現するか、というものです。辞書を引けば『what is called』という表現が出てきます。しかし、この直訳が常にベストな選択肢とは限りません。日本語中心の思考が染みついた私たちにとって、この微細なニュアンスの違いは、時にコミュニケーションの大きな壁となり得ます。なぜネイティブスピーカーは、私たちが当たり前だと思っている表現を、特定の状況でしか使わないのでしょうか?そして、その背後にある心理や意図は何なのでしょうか?
今回取り上げる例文は「He shared the picture on X of what is called cybercab.」。この一文から、私たちが陥りやすい語用論的エラーを紐解き、より自然で洗練された英語表現を習得するためのヒントを探っていきましょう。
「what is called」の意味論的レジスター
客観性と情報共有のニュアンス
『what is called』は、「一般的に~と呼ばれているもの」「世間で~と称されているもの」という、客観的かつ情報共有的なニュアンスを強く含みます。話し手自身がその呼び名を全面的に採用しているというよりは、聞き手に対して、その概念や物が「そのように呼ばれている」という事実を伝達する際に用いられます。例文の「what is called cybercab」であれば、「サイバーキャブと呼ばれているもの」という情報を提供し、聞き手がその概念に馴染みがない可能性を考慮していると解釈できます。
これは、日本語の「いわゆる」が時に含み持つ「世間一般の通念」や「周知の事実」といったニュアンスに非常に近いものです。しかし、日本の学習者が陥りやすいのは、「いわゆる」の持つ「軽く説明を補足する」程度の感覚で『what is called』を使ってしまうことです。英語では、もっと直接的な表現が可能な場面で、あえてこのフレーズを使うと、回りくどく聞こえたり、皮肉めいた響きを持つことさえあります。
フォーマルな文脈と説明責任
『what is called』は、比較的フォーマルな文脈や、専門的な用語、あるいは新しい概念を導入する際に適しています。例えば、学術論文やニュース記事などで、読者に特定の用語がどのように定義されているかを伝える必要がある場合に有効です。それは、話し手がその用語に対する一定の距離感を保ちつつ、その言葉が持つ普遍的な意味合いを伝えようとする意思の表れでもあります。
避けたい誤用と代替表現
では、どのような場合に『what is called』の使用を避けるべきでしょうか?
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一般的な名詞や概念を説明する時: たとえば、「いわゆる友達(so-called friend)」のような場合、本当に「友達」であることを強調したいなら ‘true friend’ や ‘close friend’ を使うべきです。単に「友達」という場合は ‘friend’ で十分です。
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話し手自身がその名称を完全に受け入れている時: その事物をその名前で呼ぶことに何の疑問も抵抗もない場合、あえて『what is called』を使う必要はありません。直接その名称を使えば良いでしょう。
例文の「cybercab」のように、比較的新しい技術や製品、あるいは特定のグループ内でのみ使われる専門用語を紹介する際には、『what is called』は非常に有効です。しかし、もし「サイバーキャブ」がすでに広く知られた一般的な用語であれば、単に「He shared the picture on X of a cybercab.」とする方が自然です。
代替表現としては、文脈に応じて以下のものが考えられます。
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‘A new type of ~ called ~’: 新しい概念を紹介する際。
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‘A vehicle known as ~’: 既に知られているが、念のため説明を添えたい場合。
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‘(simply the name)’: 最も一般的で、その名称が広く認知されている場合。
表現の比較テーブル:厳密な使い分け
| 表現 | ニュアンス | 使用文脈 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| what is called | 客観的、情報共有。「一般的に~と呼ばれているもの」として紹介。話し手の距離感。 | 新しい概念、専門用語、聞き手が知らない可能性のある固有名詞の導入。比較的フォーマル。 | 多用すると回りくどい印象を与える。既に周知の事柄には不適切。 |
| so-called | 皮肉、懐疑、または語義と実態の乖離。批判的ニュアンスを含むことが多い。 | ある呼称が不適切である、あるいは額面通り受け取れないと感じる時。 | ネガティブな含みがあるため、使用には細心の注意が必要。 |
| (直接名詞) | シンプルで直接的。その名称が広く認知されている、または話し手と聞き手の間で了解されている場合。 | 一般的な事物、広く普及している概念。最も頻繁に使われる表現。 | 聞き手がその名称を知らない可能性があれば、補足説明が必要。 |
| a type of ~ called ~ | 「~と呼ばれる種類の~」として、より具体的な分類や説明を加える。 | あるカテゴリに属する特定のものを紹介する時。 | 『what is called』より直接的な説明的ニュアンス。 |
| known as ~ | 「~として知られている」という、認知度を強調するニュアンス。 | 既に一般に知られている、または広く認識されている事柄について言及する時。 | フォーマル、インフォーマル両方で使える汎用性の高さ。 |
まとめ
「what is called」は、単なる「いわゆる」の直訳ではありません。そこには、話し手の意図、聞き手への配慮、そして文脈が複雑に絡み合っています。この表現が持つ「客観性」と「情報共有」のニュアンスを深く理解することで、私たちは不必要な誤解を避け、より洗練されたコミュニケーションを実現できます。辞書的な知識だけでなく、ネイティブスピーカーがその言葉を選ぶ心理を読み解くことこそが、真の英語力への扉を開く鍵です。今回学んだ知識を糧に、ぜひ自信を持って英語での表現を豊かにしていってください。
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