みなさん、こんにちは!前回は「弱形と強形」について詳しく解説しましたが、今回は日本人学習者が特に苦手とする発音パターンの第2回目として、「曖昧母音(シュワー)」についてお話しします。
『英語の発音記号で「ə」って何?』 『「アー」とか「イー」とか言われても、どう発音すればいいの?』 『ネイティブの発音を真似しようとしても、なんだか音が違う…』
こんな悩みを持っている方、実はとても多いんです!今日はそんな「シュワー」という不思議な音について、日本人の視点から徹底解説します。
シュワーとは?日本語にない謎の音
シュワー(schwa)とは、言語学で「曖昧母音」や「中立母音」と呼ばれる音で、発音記号では「ə」で表されます。英語の音声学では最も頻繁に登場する母音と言われていて、ネイティブスピーカーの自然な会話では驚くほど多く使われています。
なぜ日本人にとって難しいのか?
それは簡単です。日本語にこの音が存在しないからです!
日本語の母音は「あ、い、う、え、お」の5つだけで、それぞれがはっきりと区別されています。一方、英語のシュワーは:
- 口をほとんど動かさず
- 力を入れず
- あいまいに発音する音
なので、日本人の耳には「え?今何て言った?」と聞こえてしまうのです。
シュワーが現れる主なパターン
シュワーはどんな場所に現れるのでしょうか?主なパターンを見ていきましょう。
1. 弱音節の母音として
英語では、強勢のない音節の母音がシュワーになることが非常に多いです。
例文:
- “about” /ə’baʊt/ (最初の「a」がシュワー)
- “teacher” /’tiːtʃə/ (最後の「er」がシュワー)
- “computer” /kəm’pjuːtə/ (最後の「er」がシュワー)
- “family” /’fæməli/ (真ん中の「i」がシュワーに近い音)
- “message” /’mesɪdʒ/ (最後の「a」がシュワーに近い音)
2. 機能語の弱形として
前回お話しした「弱形」でも、シュワーが頻繁に登場します。
例文:
- “a” /ə/ (冠詞「a」はほぼ常にシュワー)
- “and” /ənd/ (弱形では「a」がシュワーに)
- “of” /əv/ (弱形では「o」がシュワーに)
- “from” /frəm/ (弱形では「o」がシュワーに)
- “to” /tə/ (弱形では「o」がシュワーに)
- “for” /fə/ (弱形では「or」がシュワーに)
- “can” /kən/ (弱形では「a」がシュワーに)
3. 複数のシュワーを含む単語
中には複数のシュワーを含む単語もあります。これが日本人にとって特に聞き取りにくい原因になることも。
例文:
- “photographer” /fə’tɒgrəfə/ (最初の「pho」と最後の「er」がシュワー)
- “particular” /pə’tɪkjələ/ (最初の「par」と最後の「ar」がシュワー)
- “consideration” /kən,sɪdə’reɪʃən/ (最初の「con」と最後の「tion」がシュワー)
- “opportunity” /,ɒpə’tjuːnəti/ (「op」と「tu」と最後の「y」がシュワーに近い音)
- “circumstantial” /,sɜːkəm’stænʃəl/ (複数の箇所がシュワー)
日本人が躓きやすいシュワーのパターン
日本人がシュワーを聞き取る際に特に躓きやすいパターンを見ていきましょう。
1. 「語尾の-er」のシュワー
多くの単語の語尾「-er」は、シュワーとして発音されます。日本人は「アー」と発音しがちですが、ネイティブはもっとあいまいに発音します。
例文:
- “teacher” /’tiːtʃə/ (「ティーチャー」ではなく「ティーチャ」に近い)
- “driver” /’draɪvə/ (「ドライバー」ではなく「ドライバ」に近い)
- “writer” /’raɪtə/ (「ライター」ではなく「ライタ」に近い)
- “faster” /’fɑːstə/ (「ファスター」ではなく「ファスタ」に近い)
- “summer” /’sʌmə/ (「サマー」ではなく「サマ」に近い)
2. 複合語や長い単語の中間音節
複合語や長い単語の中間にあるシュワーは、ほとんど聞こえないくらい弱く発音されることがあります。
例文:
- “photography” /fə’tɒgrəfi/ (「フォトグラフィー」ではなく、中間の「a」がかなり弱い)
- “chocolate” /’tʃɒklət/ (「チョコレート」ではなく、「チョクレット」のように聞こえる)
- “different” /’dɪfrənt/ (「ディファレント」ではなく「ディフレント」のように聞こえる)
- “favorite” /’feɪvrət/ (「フェイバリット」ではなく「フェイブリット」のように聞こえる)
- “interesting” /’ɪntrəstɪŋ/ (「インタレスティング」ではなく「イントレスティング」のように聞こえる)
3. 機能語の連続によるシュワーの連鎖
会話では機能語が連続することが多く、シュワーが連鎖して現れることがあります。これが「早口に聞こえる」原因の一つです。
例文:
- “I’ll be at the office.” /aɪl bi ət ðə ɒfɪs/ (「アット ザ」が連続でシュワー)
- “He’s going to the park.” /hiːz gəʊɪŋ tə ðə pɑːk/ (「トゥ ザ」が連続でシュワー)
- “Tell me about the problem.” /tel mi əbaʊt ðə prɒbləm/ (「アバウト ザ」の中にシュワーが複数)
- “Look at the picture on the wall.” /lʊk ət ðə pɪktʃər ɒn ðə wɔːl/ (複数の箇所でシュワーが連続)
- “She’s in the kitchen with her mother.” /ʃiːz ɪn ðə kɪtʃən wɪð ə mʌðə/ (複数の箇所でシュワーが連続)
シュワーを聞き取り、発音するためのトレーニング
シュワーの聞き取りと発音を上達させるための実践的なトレーニング方法をご紹介します。
1. シュワーの基本発音練習
シュワーを発音するには:
- 口をリラックスさせる
- 舌を中央に置く
- 短く、あいまいに「ア」と「エ」の中間のような音を出す
日本語の「あ」を発音する時のように口を大きく開けず、力を抜いて発音してみましょう。
2. 単語ごとのシュワー発音練習
以下の単語を、シュワーを意識して発音してみましょう:
- “about” /ə’baʊt/
- “teacher” /’tiːtʃə/
- “the” /ðə/
- “banana” /bə’nɑːnə/
- “woman” /’wʊmən/
3. シュワーに注目したシャドーイング
ネイティブの発音を聞きながら、特にシュワーの音に注目して真似てみましょう。シュワーの部分は力を抜いて、軽く発音することがポイントです。
4. リダクションを意識したフレーズ練習
以下のフレーズを、シュワーを意識して練習してみましょう:
- “Cup of coffee” /kʌp əv ‘kɒfi/
- “What are you doing?” /wɒt ə jə ‘duːɪŋ/
- “Tell me about it” /tel mi ə’baʊt ɪt/
- “Look at the picture” /lʊk ət ðə ‘pɪktʃə/
- “I’m going to the store” /aɪm ‘gəʊɪŋ tə ðə stɔː/
日常会話で頻出するシュワーを含むフレーズ
最後に、日常会話でよく使われる、シュワーを含むフレーズをいくつか紹介します。これらを聞き取れるようになると、リスニング力が大幅に向上します!
- “What do you want to do?” /wɒt də jə wɒnt tə duː/ (複数のシュワー)
- “Could you tell me the way to the station?” /kəd jə tel mi ðə weɪ tə ðə steɪʃn/ (複数のシュワー)
- “I’m going to meet him at the café.” /aɪm gəʊɪŋ tə miːt ɪm ət ðə kæfeɪ/ (複数のシュワー)
- “Let me know when you’re free.” /let mi nəʊ wen jə friː/ (複数のシュワー)
- “Have you seen my keys anywhere?” /həv jə siːn maɪ kiːz eniweə/ (複数のシュワー)
- “There’s a problem with the computer.” /ðeəz ə prɒbləm wɪð ðə kəmpjuːtə/ (複数のシュワー)
- “I’d like a cup of tea, please.” /aɪd laɪk ə kʌp əv tiː pliːz/ (複数のシュワー)
- “Can you help me with this?” /kən jə help mi wɪð ðɪs/ (複数のシュワー)
- “Would you like something to eat?” /wəd jə laɪk sʌmθɪŋ tə iːt/ (複数のシュワー)
- “I’ll be there in a minute.” /aɪl bi ðeər ɪn ə mɪnɪt/ (複数のシュワー)
まとめ
シュワーは英語で最も頻繁に使われる母音でありながら、日本語には存在しないため、日本人学習者にとって大きな壁となっています。しかし、シュワーの特徴を理解し、意識して聞き、練習することで、徐々に慣れていくことができます。
シュワーをマスターすることは、自然な英語の発音とリスニング力向上への大きな一歩です。力を抜いて、あいまいに発音する「シュワー」の感覚をつかんで、英語らしい発音を目指しましょう!
次回は「子音クラスター」について詳しく解説します。日本語にはほとんど存在しない子音の連続は、日本人が苦手とするもう一つの発音パターンです。お楽しみに!
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