皆さん、こんにちは!英語学習に取り組む中で、こんな経験はありませんか?
『教科書で習った単語なのに、ネイティブの会話では全然違う音に聞こえる…』 『リスニング問題で、何度聞いても単語が拾えない…』 『映画やドラマの英語が、教室で習うものと全然違って聞こえる…』
もしそう感じているなら、あなたは「弱形」という英語発音の特徴に出会っているのかもしれません!今回は、日本人学習者が特に苦手とする英語発音パターンの第1回目として、「弱形と強形」について詳しく解説します。
弱形とは?強形とは?
英語には、同じ単語でも「強く発音される形(強形)」と「弱く発音される形(弱形)」が存在します。特に冠詞、前置詞、助動詞、接続詞などの機能語は、文の中の位置や強調の有無によって発音が大きく変わります。
例えば、”can”という単語。辞書では /kæn/ と発音されますが、実際の会話では多くの場合 /kən/ や単に /kn/ のように弱く発音されるのです。
これが日本人学習者にとって大きな壁となる理由は明確です:
- 日本語には「弱形」という概念がほとんどない
- 学校では主に「強形」の発音だけを教わることが多い
- 弱形になると、母音が「あいまい母音(シュワー)」に変化することが多く、日本語にない音になる
日常会話に溢れる弱形表現の例
では、実際にどのような単語が弱形で発音されるのか、具体例を見ていきましょう。
1. 助動詞の弱形
can (強形: /kæn/, 弱形: /kən/ または /kn/)
- “I can help you tomorrow.” (弱形: /kən/)
- “Yes, I can!” (強形: /kæn/ – 強調する場合)
- “She can speak three languages.” (弱形: /kən/)
will (強形: /wɪl/, 弱形: /əl/ または /l/)
- “I will be there at 8.” (弱形: しばしば “I’ll” /aɪl/ と縮約)
- “Yes, I will!” (強形: /wɪl/ – 強調する場合)
- “She will help us.” (弱形: /əl/)
would (強形: /wʊd/, 弱形: /əd/ または /d/)
- “I would like some coffee.” (弱形: /əd/ – しばしば “I’d” /aɪd/ と縮約)
- “Yes, I would!” (強形: /wʊd/ – 強調する場合)
- “He would always bring gifts.” (弱形: /əd/)
have (強形: /hæv/, 弱形: /əv/ または /v/)
- “I have been to Tokyo.” (弱形: /əv/ – しばしば “I’ve” /aɪv/ と縮約)
- “Yes, I have!” (強形: /hæv/ – 強調する場合)
- “They have finished the project.” (弱形: /əv/)
has (強形: /hæz/, 弱形: /əz/ または /z/)
- “She has gone home.” (弱形: /əz/ – しばしば “She’s” /ʃiz/ と縮約)
- “Yes, she has!” (強形: /hæz/ – 強調する場合)
- “John has been to Paris.” (弱形: /əz/)
2. 前置詞の弱形
to (強形: /tuː/, 弱形: /tə/ または /tʊ/)
- “I’m going to school.” (弱形: /tə/)
- “Who did you give it to?” (強形: /tuː/ – 文末の場合)
- “I want to help.” (弱形: /tə/)
for (強形: /fɔːr/, 弱形: /fər/)
- “This is for you.” (弱形: /fər/)
- “What is this for?” (強形: /fɔːr/ – 文末や強調の場合)
- “I’ve been waiting for hours.” (弱形: /fər/)
from (強形: /frɒm/ または /frʌm/, 弱形: /frəm/)
- “She’s from London.” (弱形: /frəm/)
- “Where are you from?” (強形: /frɒm/ または /frʌm/ – 文末の場合)
- “I got a letter from my friend.” (弱形: /frəm/)
3. 冠詞と接続詞の弱形
a/an (常に弱形: /ə/, /ən/)
- “I bought a book.” (/ə/)
- “She is an engineer.” (/ən/)
and (強形: /ænd/, 弱形: /ənd/ または /ən/ または /n/)
- “Coffee and tea” (弱形: /ən/)
- “And what about you?” (強形: /ænd/ – 文頭の場合が多い)
- “Fish and chips” (弱形: /ən/ または単に /n/)
that (強形: /ðæt/, 弱形: /ðət/)
- “I think that he’s right.” (弱形: /ðət/)
- “Is that your car?” (強形: /ðæt/ – 指示詞として使う場合)
- “The book that I read yesterday” (弱形: /ðət/)
日本人学習者が躓きやすいポイント
弱形発音に慣れていない日本人学習者は、以下のような躓きやすいポイントがあります:
1. 「消えて聞こえる」現象
弱形で発音されると、本来の音がほとんど聞こえなくなることがあります。例えば “and” が /n/ だけになってしまうと、全く気づかないことも。
"Fish and chips" → "Fish'n chips"
"Coffee and tea" → "Coffee'n tea"
2. 「別の単語に聞こえる」現象
弱形になることで、全く別の単語のように聞こえることがあります。
"can" /kən/ → "con" のように聞こえる
"for" /fər/ → "fur" のように聞こえる
3. 「単語の境界が分からなくなる」現象
弱形が使われると、単語と単語の境界があいまいになり、どこで区切れているのか分からなくなります。
"I would have been there" → "I'd've been there" /aɪdəv biːn ðeə/
弱形を聞き取るためのトレーニング方法
弱形の発音を聞き取るために、次のようなトレーニング方法が効果的です:
1. ディクテーション練習
短い会話文を聞いて、書き取る練習をしましょう。特に機能語(助動詞、前置詞など)に注目して、どのように発音されているか観察します。
2. シャドーイング
ネイティブの発音をそのまま真似して発音する練習です。弱形を意識して発音することで、聞き取る力も向上します。
3. 弱形に注目した洋楽のリスニング
英語の歌には弱形が多く使われています。歌詞を見ながら、どの単語が弱形で発音されているか確認してみましょう。
4. 映画やドラマでの実践
字幕付きの映画やドラマを見て、機能語がどのように発音されているか観察します。同じセリフを繰り返し聞くことで、弱形の発音パターンに慣れていきましょう。
まとめ
弱形と強形の違いを理解することは、自然な英語を聞き取るための最初の大きな一歩です。日本語には存在しない概念ですが、意識して聞くことで少しずつ慣れていきます。
一つ重要なポイントは、弱形は「間違った発音」ではなく、英語の自然な発音の一部だということです。英会話の授業では強形の発音を教わることが多いですが、実際のネイティブの会話では弱形が圧倒的に多いのです。
次回は「曖昧母音(シュワー)」について詳しく解説します。弱形発音でもよく使われるシュワーは、日本人が最も苦手とする発音の一つです。お楽しみに!
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