「あぁ、英語、全然しゃべれない…」
大学時代の卒業旅行、初めての海外、フランス・パリ。右も左もわからず、言いたいことも伝えられず、ただただ右往左往していた記憶があります。
でも先日、ふと当時のメモ書きが出てきたんです。パリのユースホステルで同室になった外国の方と、なんとかコミュニケーションを取ろうと必死に書いたもの。「全然しゃべれなかった」と思っていたけれど、見返してみると、意外とちゃんと意思疎通できている。「なんだ、これでも十分会話になっていたじゃないか!」と、当時の自分を少し褒めてあげたくなりました。
多くの日本人が、「英語が話せる=ペラペラ流暢に」と考えているのではないでしょうか?でも、旅行で必要な会話や、簡単な意思疎通なら、実はすでに「話せる」レベルにある人も多いはず。もっと自信を持っていいんじゃないか、と私は思うのです。
その後、ベトナム駐在を経て、仕事で英語を使う機会も増えましたが、その思いはさらに強くなりました。もちろん、ネイティブスピーカーと対等に渡り合うにはまだまだ努力が必要ですが、第二言語として英語を使う国々では、十分にコミュニケーションが取れることを実感しました。
この記事では、最新データに基づいた日本の英語力の現状と、私たちが抱えがちな「英語コンプレックス」を乗り越えるためのヒントを探っていきます。
最新データで見る日本の英語力:衝撃の「世界87位」
EF EPI 2023年版の結果と日本の現状
毎年、世界的な語学教育機関EF(Education First)が発表している英語能力指数「EF EPI」。2023年版によると、日本の英語力は113カ国・地域中87位という結果でした。スコアは457点で、5段階評価のうち下から2番目の**「低い(Low Proficiency)」**に分類されています。
元記事で触れられていた「80位くらい」という状況から、さらに順位を下げているのが現状です。「やっぱり低いんだ…」と落胆する声も聞こえてきそうですが、まずはこの事実を客観的に受け止めることが大切です。
「低い」レベルが意味するもの:国際社会での立ち位置
この「低い」という評価は、具体的にどのようなレベルなのでしょうか?EFによると、このレベルでは「簡単なメールのやり取りができる」「観光地で道案内を理解できる」「同僚と簡単な雑談ができる」程度とされています。
裏を返せば、ビジネスでの交渉やプレゼンテーション、専門的な議論など、より高度なコミュニケーションには困難が伴うレベルであることを示唆しています。グローバル化が進む現代において、これは決して無視できない課題と言えるでしょう。
なぜ?日本の英語力が伸び悩む理由
日本の英語力がなかなか向上しない背景には、いくつかの要因が考えられます。
学校教育の問題点:「読む・書く」偏重と実践機会の不足
多くの方が経験してきたように、日本の英語教育は長年、文法や読解に重点が置かれてきました。もちろん基礎は重要ですが、「話す」「聞く」といった実践的なコミュニケーション能力を養う機会が相対的に少なかったことは否めません。
授業時間数が限られていることや、英語を「教科」として捉え、テストで点数を取るための勉強になりがちだったことも、実践力不足の一因と考えられます。
「間違えたら恥ずかしい」国民性と英語を使う環境の欠如
「間違えるのが怖い」「完璧な英語じゃないと話せない」と感じてしまう、少しシャイな国民性も影響しているかもしれません。失敗を恐れるあまり、積極的に英語を話すことをためらってしまう傾向があります。
また、日本国内では日常生活で英語を使う場面が限られているため、せっかく学んだ英語を実践する機会が少ないという環境的な要因も大きいでしょう。
「ペラペラ」信仰という高いハードル
冒頭でも触れましたが、「英語ができる=ネイティブのように流暢」という高いハードルを設定しがちな点も、自信喪失につながっている可能性があります。「ペラペラじゃなければ、話せないのと同じ」と思い込んでしまうと、学習意欲の維持も難しくなります。
他国との比較:アジア諸国にも差をつけられる現実
目を世界に転じると、日本の立ち位置がより明確になります。
アジア主要国の英語力(EF EPI 2023)
- シンガポール: 2位(非常に高い)
- フィリピン: 20位(高い)
- マレーシア: 25位(高い)
- 香港: 29位(高い)
- 韓国: 49位(標準的)
- ベトナム: 58位(標準的)
- 中国: 82位(低い)
- 日本: 87位(低い)
かつては経済的に先行していた日本が、英語力という点ではアジアの多くの国々に後れを取っている現実は、やはり「驚き」であり、 深刻に受け止めるべきかもしれません。特に、教育熱心なイメージのある韓国(49位)や、経済成長著しい中国(82位)よりも低い順位であることは、日本の課題を浮き彫りにしています。
これらの国々では、より実践的な英語教育や、英語を使う機会の創出に力を入れているケースが多く見られます。
英語力不足が招く「見えない損失」とは?
「別に海外で暮らすわけじゃないし…」と思う方もいるかもしれませんが、日本の英語力不足は、社会全体にとって様々な「見えない損失」につながっている可能性があります。少なくとも私はベトナムで英語だけではないのですが、アグレッシブにどんどん学びを得て成長していく若者をみて「負けてられない」と心底思いました。
経済的損失:インバウンド対応、ビジネスチャンスの逸失
近年、多くの外国人観光客が日本を訪れていますが、英語でのコミュニケーションがスムーズにいかない場面は少なくありません。これは、観光客の満足度低下や、リピート率の減少につながる可能性があります。
また、グローバルビジネスにおいては、英語が共通言語です。英語での情報収集能力や交渉力が低いと、新たなビジネスチャンスを逃したり、不利な条件を受け入れたりしてしまうリスクが高まります。ちょっと前だと安倍晋三首相がトランプ大統領とうまく会話していたことを思い出します。
これからは、アプリなどのおかげで、仕事上などはそれほど英語を話せなくても機械のおかげであまりデメリットを感じなくなるかもしれませんが、わたしは「友達になるため」に英語力が必要だと現在思っています。
国際競争力の低下と情報格差
国際会議や学術研究の場でも、英語での発信力・受信力が求められます。英語力が低いと、日本の意見や研究成果を十分に世界へアピールできなかったり、逆に世界の最新情報から取り残されたりする「情報格差」が生じる可能性も指摘されています。
自信を持って!「話せない」コンプレックスを克服するために
では、私たちはどうすれば良いのでしょうか?大切なのは、現状を悲観しすぎず、自分に合った形で英語と向き合い、少しずつでも自信をつけていくことだと考えます。
目標設定の見直し:「完璧」より「伝わる」英語へ
まず、「ペラペラにならなければ」という呪縛から自分を解放しませんか?完璧な文法や発音を目指すよりも、「多少間違えてもいいから、伝えたいことを相手に理解してもらう」ことを目標にしてみましょう。
私のパリでのメモ書きのように、単語やジェスチャー、簡単な文章でも、コミュニケーションは十分に成り立ちます。「伝わった!」という小さな成功体験が、大きな自信につながるはずです。先ほど述べたように、「友達をつくるため」と考えるとちょっとした間違えなどは大した問題ではありません。
気楽にいきましょう!
小さな成功体験を積み重ねる
- 挨拶や簡単な自己紹介を練習してみる
- 好きな海外ドラマや映画を英語字幕で見てみる
- 簡単な単語やフレーズを声に出してみる
どんなに小さなことでも構いません。「できた!」という感覚を大切にしましょう。
英語を使う機会を積極的に作る
今はオンライン英会話や語学アプリ、国際交流イベントなど、日本にいながらでも英語に触れる機会がたくさんあります。勇気を出して、そうした場に飛び込んでみるのも良いでしょう。
「間違えたらどうしよう」ではなく、「試してみよう!」という気持ちで、楽しみながら英語に触れることが、コンプレックス克服への一番の近道かもしれません。
まとめ:未来のために、できることから始めよう
日本の英語力が世界的に見て低い水準にあることは事実です。しかし、それは決して個人の能力が低いということではありません。教育システムや環境、そして私たち自身の意識にも、改善の余地があるということです。
「日本人はもっと自信を持っていい!」
これは、海外での経験を通じて私が強く感じていることです。完璧な英語を目指すのではなく、まずは「伝える」ことを目標に、楽しみながら英語と関わっていく。その一歩が、あなた自身の可能性を広げ、ひいては日本の未来を少し明るくするかもしれません。
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