仕事中、同僚の報告やちょっとした成果に対して、つい「Good!」と一言で返してしまうこと、ありませんか? 私自身、日々の業務に追われていると、深く考える余裕もなく、反射的に「Good!」と言ってしまいがちです。「まあ、悪くはないよ」という最低限の肯定は伝わっているかもしれませんが、本当はもっと「よくやったね!」とか「それは君のためになるね!」といった具体的な気持ちを伝えたいのに…と、後で思うこともしばしば。
そんな「Good」一言病から抜け出すために、今日は似ているようで使い方が異なる二つのフレーズ、【Good for you】と【Good on you】に注目してみましょう。これらを使いこなせれば、相手への承認や称賛の気持ちを、もっと的確に、そして温かく伝えられるはずです。
私の反省と、「これからこう使いたい!」という願望も込めて、この二つの表現の違いと使い分けを詳しく見ていきましょう。
1. Good for you と Good on you の違いは?
1-1. 「Good for you」の使い方とは
「Good for you」には、大きく分けて二つの意味があります。
- 文字通りの意味:「あなたにとって良い」
健康や状況など、文字通りその人にとって利益がある、ためになる、という意味です。- 例: Eating vegetables is good for you. (野菜を食べることはあなたにとって良いことです。)
- 例: Taking a break is good for you when you feel tired. (疲れているときは休憩をとることがあなたのためになります。)
- 慣用的な意味:「よかったね!」「おめでとう!」
相手の達成したこと、成功、幸運などに対して、承認や祝福の気持ちを表す表現です。これが会話でよく使われる意味合いです。- 例: “I got the promotion!” “Wow, good for you!” (「昇進したんだ!」「わあ、よかったね!」)
- 例: “I finally finished the report.” “Good for you!” (「やっとレポートを終えたよ」「よくやったね!」)
注意点: 文脈や言い方によっては、皮肉や無関心(「へえ、よかったね(棒読み)」)に聞こえることもあるので、心からの祝福を伝える場合は、笑顔や熱意のこもったトーンで言うことが大切です。
1-2. 「Good on you」の使い方とは
「Good on you」は、「Good for you」ほど一般的ではありませんが、特にイギリス、オーストラリア、ニュージーランド英語でよく使われます。意味合いとしては、「Good for you」の慣用的な意味(よかったね!)と似ていますが、より相手の行動や決断、人柄そのものを称賛するニュアンスが強いです。
「よくやったね」「えらいね」「それは正しい行いだよ」といった、相手の** commendable な(称賛に値する)行動**に対して使われることが多いです。
- 例: “I decided to help him move.” “Good on you! That’s very kind.” (「彼が引っ越すのを手伝うことにしたんだ」「えらいね! とても親切だ。」)
- 例: “I admitted my mistake to the boss.” “Good on you for being honest.” (「上司に自分のミスを認めたんだ」「正直で立派だよ。」)
- 例: Thanks for volunteering. Good on you, mate! (ボランティアしてくれてありがとう。たいしたもんだよ、君!) ※mateは主に英・豪・NZで使われる「友達」
2. 「Good for you」と「Good on you」の微妙なニュアンスの違い
2-1. 称賛の焦点 (状況・結果 vs 行動・人柄)
- Good for you: 主に相手に起こった良い出来事や結果(昇進、試験合格、目標達成など)に対して「よかったね!」と祝福する。
- Good on you: 相手が行った行動や示した態度(正直さ、親切、責任感など)に対して「よくやったね」「えらい!」と称賛する。行動そのものや、その行動をとった相手の人柄に焦点が当たる。
2-2. 皮肉っぽく聞こえる可能性と地域差
- Good for you: 前述の通り、言い方によっては皮肉に聞こえるリスクがある。アメリカ英語でも広く使われる。
- Good on you: 皮肉で使われることは比較的少ない。主にイギリス、オーストラリア、ニュージーランドなどで使われるため、アメリカ英語圏では少し馴染みが薄い可能性がある。
3. 脱「Good」!実践シチュエーション紹介
さて、私の「Good」一言問題です。これからは、これらのフレーズをどう使っていけるか、具体的な場面を考えてみました。
3-1. 「Good for you」が活きる場面(私の使いどころ)
- 同僚が資格試験に合格したと報告してきた時: いつもなら「Oh, good.」で終わらせてしまいそう…。
→ 「Wow, congratulations! That’s good for you! All your hard work paid off.」(わあ、おめでとう! よかったね! 頑張りが報われたんだね。) - 部下が難しいクライアントとの契約をまとめた時: 「Good job.」も良いけど、もっと祝福感を。
→ 「Fantastic! Good for you! That must be a huge relief.」(素晴らしい! よくやったね! きっと肩の荷が下りたでしょう。) - 後輩が「週末はしっかり休めました」と言った時: 「Good.」だけだと素っ気ない。
→ 「Oh, good for you. It’s important to recharge.」(ああ、それは良かったね。リフレッシュは大事だよ。)※この場合は文字通りの意味に近い。
相手の達成やポジティブな状況変化に対して、祝福や承認の気持ちをストレートに伝えたい時に使いたいです。
3-2. 「Good on you」を使いたい場面(私の使いどころ)
- 誰かが会議で建設的な意見を勇気を出して言った時: 「Good point.」だけでなく、その行動を称えたい。
→ 「Good on you for speaking up, Tanaka-san. That’s a valuable perspective.」(田中さん、発言してくれてありがとう(/立派です)。それは貴重な視点です。) - チームメンバーが他の困っているメンバーを率先して助けていた時: 「Good.」ではなく、その親切心を褒めたい。
→ 「I saw you helping Sato-san earlier. Good on you, Yamada-san. That’s great teamwork.」(さっき佐藤さんを手伝っているのを見ましたよ。山田さん、えらいね。素晴らしいチームワークです。) - 自分がミスしかけたのを、誰かが正直に指摘してくれた時: 感謝と共に、その誠実さを認めたい。
→ 「Thanks for pointing that out. Good on you for being honest. I appreciate it.」(指摘してくれてありがとう。正直に言ってくれて感謝します(/立派です)。助かります。)
相手の「良い行い」そのものに焦点を当てて、「よくやった」「えらい」という気持ちを伝えたい場面で活用できそうです。(※ただし、職場環境や相手との関係性によっては少しカジュアルに聞こえる可能性もあるので、相手を見極める必要はありそうです。)
4. 「Good for you」と「Good on you」の使い分け【まとめ】
4-1. 「Good for you」のニュアンスと適した場面
- ニュアンス: よかったね!おめでとう!(相手の成功・幸運・達成への祝福・承認)。あなたのためになるね(文字通りの意味)。言い方注意。
- 適した場面:
- 相手の達成や良い結果を祝福する時。
- 相手にとって有益な状況を指して「良かったね」と言う時。
4-2. 「Good on you」のニュアンスと適した場面
- ニュアンス: よくやった!えらいね!立派だよ!(相手の称賛に値する行動や態度への称賛)。地域性あり(英・豪・NZなど)。
- 適した場面:
- 相手の親切、正直さ、責任感ある行動などを具体的に褒める時。
- 「正しい行いをしたね」と伝えたい時。
「Good」一言から卒業し、「Good for you」と「Good on you」を使い分けることで、相手への気持ちはもっと豊かに伝わるはずです。私も意識して、日々のコミュニケーションに取り入れていきたいと思います。皆さんも、ぜひこれらのフレーズを活用してみてください!
▶︎ さらに微妙にニュアンスの違う英語表現についてはこちらで詳しく解説しています。
→ What is your opinion? と What do you think? の違いを徹底解説!
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