TOEICのリスニングで、「知っている単語のはずなのに、なぜか聞き取れない…」と悩んでいませんか?その原因は、ネイティブ特有の「音の融合」や「連結」にあります。
今回は、Don’t you want a printout of the sales figures? という文章をとりあげます。
この質問文には、日本人が聞き取りにくい音の変化がいくつも詰まっています。この機会にマスターして、リスニング力を一段階アップさせましょう!
「Don’t you want a printout of the sales figures?」の発音を分解!
この文章を文字通りに読むと「ドント ユー ウォント ア プリントアウト オブ ザ セールス フィギュアズ?」となりますが、ナチュラルスピードの会話では、まったく違う音に聞こえます。
カタカナ表記(聞こえ方に近い):
「ドンチュー ウォナ プリンタウダヴ ザ セールズ フィギュアズ?」
ポイント解説:
- Don’t you → Donchu (ドンチュー) 【音の融合 / 口蓋化】
- これがこの文章で最も重要な音の変化です。
Don't
の最後の /t/ の音と、you
の最初の /j/ (ヤ行の音)がぶつかって融合し、/tʃ/ という「チャ行」の音に変化します。これを口蓋化(こうがいか)と呼びます。ネイティブの会話では「ドント ユー」とハッキリ区切って発音されることは稀です。
- これがこの文章で最も重要な音の変化です。
- want a → wanna (ウォナ) 【リンキング / フラッピング】
want
の最後の /t/ の音と、a
の母音が連結(リンキング)します。さらに、母音に挟まれたt
の音は、日本語の「ラ行」に近い柔らかい音(フラッピング)になるため、「ウォンタ」よりも「ウォナ」に近く聞こえます。
- printout of → printou-dof (プリンタウダヴ) 【フラッピング / リンキング】
printout
の単語の真ん中にあるt
も母音に挟まれているため、フラッピングが起こり「プリンダウト」のように発音されます。- さらに、
printout
の最後の /t/ の音とof
の母音が連結(リンキング)し、ここでもフラッピングが起きて「タ」が「ダ」のような音になります。また、of
のf
は /v/ の音なので、全体として「プリンタウダヴ」のように繋がります。
これらの音の変化が自然に起こることで、流れるようなネイティブの発音が生まれるのです。
応用編:似たような音の変化を持つ例文
この「t+y = ch」の音の変化は、他の場面でも頻繁に登場します。3つの例文で耳を慣らしましょう。
例文1: Can’t you see what I mean?
(キャンチュー シー ワライ ミーン?)
- 解説:
Can't you
の部分がCan't-chu
(キャンチュー) と音の融合を起こしています。またwhat I
のt
はフラッピングで「ワライ」のように聞こえます。
例文2: I’ll let you know the final decision.
(アイル レッチュー ノウ ザ ファイナル ディシジョン)
- 解説:
let you
がつながってlet-chu
(レッチュー) と発音されます。このように、Don't
やCan't
だけでなく、一般動詞の後でも同じ現象が起こります。
例文3: Could you send me the file?
(クジュー センミー ザ ファイル?)
- 解説: これは
t
ではなくd
のパターンです。Could
の最後の /d/ の音とyou
の /j/ の音が融合し、/dʒ/ という「ヂャ行」の音になります。そのため「クッド ユー」ではなく「クジュー」と聞こえます。Would you
も同様に「ウジュー」となります。
このように、音の変化にはルールがあります。ルールを知ってから何度も音声を聞き、自分でも口に出して練習することで、ネイティブの速い英語にも対応できるようになります。ぜひ、今日から意識してみてください!
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